Glorio #01

その日、便りが届いたのは、いつものようにパーティメンバーのプリースト"ジェン"と
モンクの"グレイブ"と明日の狩場を考えながら酒の心地良い酔いに浸っていた時だった。

「お前に手紙? アサシンギルドからか?」

そういって首に腕を絡めてくるのは、ジェン。
一見余所から見れば酔って絡んできているように思えるが、これが甘え上手な彼の
スキンシップ法。
長い付き合いだが、今はそんなことよりも酒に浸っていたい。
鬱陶しくも、甘えて寄り添ってくるジェンを放置しつつ、ちらりと目を横にやると、
案の定、酒に弱いグレイブは酔いつぶれてグースカだらしない顔をして気持ち良さそうに眠り込んでいる。
こちらもまた放置で問題ないのだが、それよりも気がかりなのは、今手にしている一通の手紙。
差出人はアサシンギルドとなっているが、封筒の紙質といい、ギルドからの送られる指令とはどうも雰囲気が違うようだ。

「キ〜〜〜〜〜ルぅ〜〜〜〜。。アサギルドからの要請なんて、またくっだらね〜
魔物退治とか偵察とかだろ〜?んなもんほっといてさ〜、遊ぼ〜ぜ〜?」

先程よりも更に鬱陶しく擦り寄ってくるジェンを押しのけ、封を切る。
取り出した手紙も、これまた普段お目にかかれないような美しい上質紙。
更に、彼を驚かせたのは手紙の本当の依頼主だった。

「……ルーンミッドガッツ王国国王…」

国王から直接依頼が来るだなんて思っても居なかった。
確かに、今現在、アサシンギルド内でナンバーワンの実力を持ち、ギルドから重宝され
多くの依頼を受けているが、まさか…。

「おーさま? が、どーかしたの?」

内容を読んでみても、それには"本題"は書かれて居ない。
記されていることは、ただ一つ簡潔に。

  『依頼事がある。明日 午後、プロンテラ大聖堂に来られよ。』

国王直々から依頼を受けるということは、大変名誉なことだ。
が、裏を返せば国王自ら願い出なければならないほどの、リスクの高い内容だということも、安易に考えられる。
出来ることなら願い下げたいところだが、ギルド経由で…それも王から直接の依頼となれば、背くことは難しい。

「話を聞くだけでも行ってみるか…。」

依頼を受けるか受けないかは、それから決めればいい。

「…ジェン、明日からの行先が決まった。ついでだ。グレイブの武器を作る為にも1度
プロンテラにもどるぞ。」

酔っ払いつつも、コクコクと首を立てに振るジェンと寝たままのグレイブをベッドに投げ、
旅路に必要最低限の武具・食料などの準備をはじめる。


白髪と赤い瞳をもつアサシン…"キル"。
ジェンとグレイブとは修道院時代から行動を共にしてきた仲だが、そんな2人にも知られていない彼の素性。
それがばれる事に恐れをなすことは無いが、それよりも。
せめて"彼"だけには知られたくない…思い出して欲しくない出来事がある。

今からおよそ9年前の事。
"アサシン"となった自分が初めて手を掛けた、重大任務。
初めて犯した、ミス…。





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