Glorio #02

「鋼鉄にオリ塊、それと〜星の欠片に属性石…こんだけありゃ、新しいナックル作って
もらえんだろ?」

プロンテラ南外門近辺に位置する通称「臨広場」。
狩りの仲間を集めや、露店やポタ屋などがあり、多くの人々で毎日朝から晩まで賑わっている。
そこから一歩ひいた所にある、背の高い木でできた日陰の下に構える「ポリン堂」という露店に、
ジェン・キル・グレイブの3人はよく訪れていた。

「ポリン堂」の店主"ジャスティ"は若干18歳にして王国軍から武器や薬の要請を受け製造を行うベテランの製造ブラックスミスである。
もちろん、ブラックスミスである彼が行うのは武器製造のみであり、製薬を行うのは、行動を共にしているアルケミストの「リアン」。
店の目印は、メンバーのスナイパーのファルコン「ぴっち」。
ファルコンのなかでも大きく、ハネを広げれば1.5〜2mくらいはあるだろう。
そんなファルコンを眺めなガら「焼いたらうまそうだな」と腹を撫でるグレイブに、飼い主のスナイパー"フローネ"が
容赦の無い弓技を向けたのは言うまでも無いだろう…。

「はい、完成。星3個いりのファイアフィスト。精錬も+10までしておいたから、前のよりも威力上がってるとおもうけど。」
「うっひょ〜! 過剰精錬までしてくれたのかよ。たっすかる〜♪」

ジャスティの気の効いたサービスに、小躍りするグレイブ。
頭にオリデオコンの矢が3本刺さったままということには突っ込まないでおこう…。

「いつもキルとジェンには世話になってるからね。それくらいサービスしとかないと。」
「ジャスティ、製造しかできない弱々商人だもんね〜」

フローネの言葉にジャスティは口を尖らすが、事実なので反論せずに大人しく製造具をしまいはじめる。

「そういやさ」

ふと、何か思い出したかのように誰に言うでもなくフローネが1人呟く。

「朝、ポリン島でアクエンっぽいのみかけたけど、あれ、まだ居んのかな…」

可愛い顔をして地味に凶悪なボスモンスター"アークエンジェル"通称「アクエン」。
冒険へと旅たとうとするノービスや、なりたて一次職が多く修行をするポリン島にそのようなボスモンスターが
現れたとしても、それを倒せるようなレベルのものは、お付きのプリーストぐらいだろう。
しかし、プリーストは支援職なために攻撃手段がなく、倒すことができない。

「アクエンね…ここ暫くボス狩ってねぇし。ヒマ潰しにいってみる?」

ジェンの提案にグレイブは賛同するが、PTリーダーのキルは首を横に振る。

「俺達がプロに降りた目的はそんな暇潰しじゃないだろ。余計な時間はかけたくない。」

しかし、グレイブとジェンは強引にキルの腕を引くと、口を揃えて言った。

「なんだよキル、か弱い子供たちがアクエンに襲われてるかもしれねってのによ〜。人でなし〜薄情者〜」
「アクエンくらい、すぐ倒せるだろ〜? 依頼主んとこ行くのだってそれからでも十分間に合うだろさ〜。」

2人に散々引っ張られ、リアン&ジャスティ、おまけにフローネにまで「レアよろしく」と
せがまれ、仕方なしにポリン島に向かった。







昼食後、修道院のあるプロンテラを出て、駆け出し冒険者の狩場である「ポリン島」を訪れていたヴェニアスとレグルスだったが、
低レベルのヒール(治癒魔法)とこちらも低レベルのファイアーボルト(火魔法)しか使えない二人は、ポポリン1匹倒すにも
悪戦苦闘だった。

「レグ〜〜。もうすぐSPなくなっちゃうよ〜」
「ええ?! もう?! さっき休んで回復したばっかじゃんっ」

ヴェニアスのヒールがもらえなければ、レグルスは戦うことができなくなる。
渾身の一撃をぶつけて見たが、やはり、まだ魔力が低いために十分なダメージを与えられない。

「ぅぅ…僕ももうSPないっぽい…」

ダメージを受けないようにとポポリンとの距離をおきつつ後ずさり二人は、背後に新たな気配を感じ振り向く。
そこにいたのは、青いポリン「マーリン」に良く似た、翼をもつポリン。
今までに見たことも無いし…初心者修道院でも習わなかったはじめてみるポリンだ。

2人がその正体不明なポリンの餌食になったのは、「天使みたい〜」と、手を伸ばした矢先のことだった。








フローネから「アークエンジェル」出没の話を聞きポリン島にやってきたキル、ジェン、グレイブは、
その辺でポリン狩りをしている初心者冒険者やおつきのプリーストなどに話を聞きながら、その足跡を追っていた。

「ああ、アクエンならさっき"左エリアの下のほう"にいましたよ。」

おもりのノービスにブレッシングなどの支援をかけながら、女性プリーストは答えた。

「すぐに飛んでしまうので…今もまだそこにいるとは限りませんけどね」

厄介なことに、アークエンジェルはとても獰猛だが臆病なモンスターで、姿を現してもすぐにテレポートで飛んでいってしまうのだ。
なので、なかなか倒されず被害が拡大されやすい、なかなか迷惑なボスモンスターの類である。
三人は女性プリーストの言っていた、左エリアの下のほうへと足早に向かう。

"アークエンジェル"は、聞いたとおりまだそこに居た。
すぐさまジェンがグレイブとキルに支援をかけ、攻撃体制に入る。

「グレイブ、召喚モンスターに目を向けるな。本体だけを殺れ」
「お、おう!」

クルーザーやミストケース、ワイドローズ。クッキーなど、アークエンジェルが召喚したモンスターが入り混じる混戦の中、
グレイブとキルは的確に"本体"だけを狙い、ジェンもまた的確に支援を送る。

6年前から共に旅をし、幾数ものモンスターと戦ってきた彼らの息はピッタリで、あっというまに無駄な動き一つ無く
アークエンジェルを倒してしまった。
戦利品の「悪魔のヘアバンド」を片手に、ジェンは被害者は居ないかと辺りを見回す。

「ジェン」

キルに呼ばれ、そちらに駆け寄ると、桃色の髪のマジシャン,それから金色の髪のアコライトが負傷し倒れているのがわかる。
その小さな身体にアークエンジェルの攻撃の直撃を受けたのだろう、呼吸も途絶え途絶えで瀕死の状態のようだ。
プリーストであるジェンは、すぐさま蘇生の魔法「リザレクション」を唱え、傷を癒す。
それでも意識はまだ戻らないこの子たちを、ここにこのまま放置するわけにもいかず、三人は2人を抱え、一時"プロンテラ"へと帰還した。




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