Glorio ~another Story~ #10

recollection 2 (Clavarna&Grave)



〜同時刻、アマツ…。〜


最高レベルのヒール砲を撃ちまくるなんともsp効率の悪い戦法に苛立ちを憶えつつ、僕は支援の掛けなおしをする。
ホーリーライトで攻撃したほうがsp消費の面でも良いのに…ジェンさんはそんな基本的なことも教えなかったんだろうか?
狩りも支援もヘタッピで、ここまで効率悪いとアドバイスする気もうせてくる。
ほら、もうまたsp切れて座ってる。
何度目かもわからない溜息をつき、sp回復力増幅魔法を詠唱しながら、つい先程の休憩時に聞いた話を思いだす。

なんでも、このヘッポコアコライト(ヴェニアス)は、アルデバランの医療家系の末っ子らしい。
上には優秀なプリーストが二人居て、両親も名の知れた名医。
加えて双子のクルセイダーの兄も居るが、その兄は昔…ヴェニアスがまだ初心者修練場に通う前。
こっそり兄の鍛練に着いて行き、襲ってきたモンスターから庇ったときに受けた傷と毒が未だ治らず、自分を庇って苦しんでいる兄を助けたい という意思で親の静止を聞かずに家を飛び出てきたらしい。
本人は一生懸命取り組んでいるようなのだが(ジェンさんもその頑張りは認めていた)、どうもこのアコライトは普通より遥かに飲み込みが遅い。
絶対遅い。
背丈が幼児サイズなら、頭の中も幼児サイズなのだろうか?
しかし、同じく幼児サイズのマジシャン・レグルスは、ヴェニアスに比べ相当素質があると筋肉莫迦兄貴が自慢してた。
今度はまた「兄のようなプリーストになりたいんだ」とか話しだしている。
キミの兄がどんな立派なプリーストかは知らないけど、今のアンタの姿をみていると、その実力ってものも高が知れてくるんじゃないの?

ジェンさんも、性格とか色々いかがな物かなとか思う部分はあるし、神父の息子でありながら神を信仰しないし、支援もやる気無いし。
それでも、やる時は無駄な動きもなく、優秀なプリースト って言われて納得もできる。

世間には「優秀なプリースト」って呼ばれるヒトはいくらでもいる。
けど、実際のところ見てみると、どの人にも必ず抜け目があって、「パーフェクト」ではない。
僕はそこらの「優秀」なプリーストとは違う。
もっともっと、上を目指すんだ。
「支援しかできないプリースト」なんかじゃない。「一人で生きて行けるプリースト」に。
僕が目指すのは「優秀」なんて肩書きじゃない。
「パーフェクト」だ。

だから、こういう無駄な時間はマジで浪費したくないんだよね。。
まぁ今回は相方も何やら狩りとは別の忙しい用事があるようだから、目を瞑っとくけど。






レグのウィザード転職試験を無事にクリアして、時間も余ったし俺たちはヴェニの修行してるアマツダンジョンに向かった。
確か今、クラが面倒みてんだっけ。

クラと言やぁ、ほんっと再会したときにはビックリしたよなぁ。
アイツ、始め「職にはつかない」って一線張ってつっぱってたってのに、いっちょまえにプリになってんだもんな!
アイツってさーなんていうか、兄弟の俺からみても何処と無く掴めないんだよな。
ボヘーと面倒くさがりで、そのくせ自立だけはチッコイころからシッカリしてて。
何事にもほとんど無関心で、そのくせ意地っ張りで融通が利かなくて。
口では文句タラタラ言うくせに、頼まれたらイヤと言えない…。
色々矛盾しまくりな、弟。

プリーストを目指すっていって出てった俺がモンクになって帰ってきても、チラっと見るだけで何も言わねーし、この長旅に出る時も、新聞から目ぇ逸らさないまま「ふーん、」の一言だけ。
俺が意見を求めても「兄貴の好きにすりゃいいじゃん」ってスンゲー投げやり。

んまー、そんなんだから、似た類のフロネとも相方としてちゃんとヤレてるんだろーなー。
俺もアイツらやチビッコ達に負けないようにしないとな!
一応これでもジェンの相方なんだぜ?
っつっても、トリオだとキルの存在がデカすぎていっつも遅れとっちまうんだけどな…。
はー…俺の立場危ういって。
アイツ何かとジェンにすげーなんつーの?思いいれ深いっつーか。それは俺も同じなんだぜ?!俺だってジェン大好きだもん!
けどアイツの場合、なんかどっか違うんだよな。


修道院にジェンが編入してきた頃、すっげー元気なくってさ。
いっつも一人で殻に閉じこもってる感じで寂しそうだったから、俺が誘ったんだよな、グループに。
 (グループつっても俺とキルのコンビだったんだけど。)
始めはキルのやつはジェンに干渉しようとしないで、むしろ距離を置く感じで、俺ばっかが只管構ってて。
だーけど、いつからだったか、キル、ジェンのこと弟みてーに面倒みたりするようになったんだな。
俺が気付かないちょっとした変化もすぐに悟って相談のったり、どんどん二人の絆が深くなって、俺だけが置いてきぼりになって…。
気付けば、キルと張り合う勢いでモンクを目指してた。
ジェンを守るのは、俺なんだ!って。

はーあー…。
なんか色々考えてたら気が滅入っちまいそうだぜ…。
こんな色々考えるなんて、俺らしくねぇよな!男なら考える前に体を動かすべし!ヽ(`д´#)ノ




「あ、兄貴。ちょうど良かった、忍者二匹も居てウザイからやっちゃって。」
「任せろって!レグ、そっち頼むぜ!」
「あいあいさーっ」




誰を超えるとか、誰かと張り合うとか、ガラじゃねぇ。
俺は俺の思う道を進めばいい。
カミサマは信じないけど、"俺の中"のカミサマは信じてる。
だって今までその存在があったから目標を見出だしてここまでこれたんだから。
だから、これからもそれを貫き通せばいい。


俺は、俺の道を。


なぁ、そうだろ?師匠。




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